冬のウランバートルは寒いときにはマイナス40度以下にもなります。
今年は暖冬なので、それほど冷えはしないのですが、先週半ばからまた冷え込みが少しきつくなって夜間でマイナス30度くらいの気温になりました。
ま、それでも暖冬なんですけどね。
昼間は晴れていれば雪もけっこう融けて路面がぐしゃぐしゃになるようにもなっています。


ウランバートル市内の交通手段で一般的なのはバスなのですが、最近は交通渋滞がひどくて以前に比べて移動にやたらと時間がかかるようになっています。
バスは大まかに分けて三種類のものがあります。
一つ目は一般的なバス、二つ目はトロリーバス、そして三つ目がミクラといわれるワンボックスカーを小型バスとして利用しているもの。
で、冬場に長い時間乗りたくないのが、二つ目のトロリーバスなんです。
普通のバスとミクラバスは、エンジンのついたクルマですから、ヒーターがけっこう効くんです。
ですが、トロリーバスと言うのは簡単にいうとタイヤのついた路面電車なので動力源は電気です。
つまり、内燃機関のないバスなわけで、基本的にはヒーターというものありません。
もっとも最近では後付で電気温風ヒーターのあるものも少し増えてきたようですが。それでもほとんどのトロリーバスには暖房がないんです。
ということは、車内と車外の気温は一緒になるわけで、外がマイナス30度ならば中もマイナス30度のままになります。
短い距離を移動するだけならまだしも、1時間以上じっと座っていなければならないと体の芯まで凍えてしまいます。
乗客は皆、じっと押し黙ったまま座席で固まっています。
寒風吹きすさぶ大雪原でまるくなって耐えているペンギンの群れのようですよ、ほんとに。


最近の激交通渋滞のおかげで以前の倍以上の時間を移動に費やさねばならなくなって、トロリーバスの車内はますます冷え込むことになっています。
乗客の吐く息が全て凍って車内の窓や壁にびっしりと張り付くので、まるで製氷室の中に座っているような感じです。
氷結した窓からは外の様子が全く見えないのでうっかりしていると乗り過ごしてしまうんですよね。