ブルトン人とモンゴル人
フランス北西部に突き出したブルターニュ半島の地域は、1532年にフランスに併合されるまで、ブルターニュ公国という名のフランスとは別個のブルトン人の独立国家でした。
独自の文化習慣の残るこの地で暮らし始めると、フランスであってフランスでないという奇妙な感覚を少なからず覚えます。
レンヌの中心にある文化複合施設「レ・シャン・リーブル」にあるブルターニュ博物館でブルトン人についての特別展示が行われていました。
もともとブルトン人とは4世紀から6世紀にかけてグレートブリテン島からこの地に移住してきたケルト系の民族。
彼らの言語であるブルトン語や民族衣装など独特の文化が残っており、ブルターニュ公国はもはや存在しなくとも、やはりここがフランスにとって隣国であったことを思い出させます。
歴史を通じてブルトン人は世界中に移り住んだということで、今回の展示会はブルトン人がいかに世界中に広く散って行ったのか、そして移住先にどのように根付き、コミュニティーを形成した様を詳しく説明していました。
興味深いことに、ブルトン人たちはブルターニュから世界中に旅立っていきましたが、同時に世界中からの移民をブルターニュは受け入れてきました。
フランスに移動した人々の中には、モンゴル人たちも少なからず含まれています。
ヨーロッパ、特にフランスには大勢のモンゴル人が暮らしています。
街角でモンゴル人を見かけることもしばしば。
安定した仕事と生活を望んでフランスに来てみたものの、その多くが実際には厳しい現実に直面しています。
滞在許可がなく、明日の生活がどうなるかわからないまま不安な気持ちで日々を過ごす人も少なくありません。
それぞれの移民がどんな心持ちで故国を後にしたのか、新しい地で何を思ったのかについて深く考えさせられる展示会でした。
レンヌの中心、「シャルル・ド・ゴール」という地下鉄の駅のすぐ近く、「レ・シャン・リーブル」の中にブルターニュ博物館があります。
http://www.musee-bretagne.fr/
ブルターニュ博物館の常設展示も、この地の歴史的な変遷を物語る貴重な品々が置かれており、なかなか見ごたえがあります。
レンヌにお立ち寄りの際には、どうぞ。
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